糖尿病と臨床検査値-HbA1cによる治療効果の評価

糖尿病とは

糖尿病の疾病負担

糖尿病は、インスリンの作用不足によって血糖値が高くなる疾患であり、長期にわたると網膜症、腎症、神経障害といった様々な合併症を引き起こします。糖尿病が原因で透析導入に至る患者も多く、日本人の糖尿病患者数は顕在化している患者数で500万人以上、疑いのある対象者を含めると約1,000万人と推定されています1厚生労働省、患者調査(令和5年)、2023年、https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html、2025年9月8日。また、糖尿病患者は心血管疾患のリスクも高く、医療費負担も大きいことから、厚生労働省は糖尿病を「重点的な生活習慣病」と位置づけ、早期発見・治療介入による合併症予防を目的とした取り組みが実施されています。 糖尿病の診断基準は、血糖値やHbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)の値が一定以上である状態が持続するとされており、特にHbA1cは過去1~2か月の平均的な血糖コントロール状態を示す重要な指標です。糖尿病の重症度は、HbA1cや合併症の有無によって区分されており、HbA1cのコントロールが不十分な場合、心血管疾患や腎症などの発症リスクが上昇することが報告されています2日本糖尿病学会、糖尿病治療ガイドライン2024、2024年、https://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4、2025年9月8日

糖尿病の合併症とリスク

糖尿病は、長期にわたる高血糖状態が原因で、全身の血管や神経が傷つき、様々な合併症を引き起こします。これらの合併症は、主に「3大合併症」として知られる細小血管症が挙がります3日本生活習慣予防協会、生活習慣病とは、2024年、https://seikatsusyukanbyo.com/prevention/about.php、2025年9月8日。3大合併症は、細い血管が障害されることで起こります。1つめには「神経障害」が挙がります。症状として、高血糖により手足の感覚が鈍くなったり、しびれ、痛みが生じたりします。特に、手袋や靴下を履いたような左右対称の感覚異常が特徴です。

2つめに「網膜症」があります。症状として目の網膜にある細い血管が傷つき、視力低下や出血を引き起こします。自覚症状がないまま進行することが多いため、定期的な眼底検査が重要です。糖尿病網膜症のリスクとして、日本における成人の失明原因の3番目となっており、進行すると失明に至る可能性があります4日本糖尿病学会、糖尿病治療ガイドライン2024、2024年、https://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4、2025年9月8日。細小血管症による合併症の3つめに「腎症」が挙がります。症状として、腎臓の細い血管が障害され、老廃物をろ過する機能が低下します。初期は自覚症状がなく、進行するとむくみや尿にタンパクが出るといった症状が現れます。最終的には腎機能が失われ、透析治療が必要になることがあります5日本糖尿病学会、糖尿病治療ガイドライン2024、2024年、https://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4、2025年9月8日。これらの合併症の進行を防ぐためには、HbA1cなどの血糖コントロールに加え、高血圧、脂質異常症、肥満を適切に管理することが非常に重要です。