電子カルテデータベースの特徴
電子カルテデータベースは、医療機関における日常の診療記録として生じるデータであり、診療報酬明細の役割であるレセプトデータに比べて情報量が圧倒的に豊富であることが最大の特徴です。この電子カルテデータは、問診内容、医師の所見、検査結果、病名、診療行為、処方、看護記録など、患者の医療に関わるあらゆる情報が網羅的に記録されています。そのため、臨床研究や医療の質の評価などにおいて、レセプトデータでは得られない詳細な分析が可能となります。1医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版(令和5年5月)、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html、2025年9月10日

データベースの規格としてのStandardized Structured Medical Information eXchange (SS-MIX)は、厚生労働省によって策定された、医療情報システムのデータ交換・共有のための標準規格であり、その中心となるのが「SS-MIX2標準化ストレージ」です。このストレージは、電子カルテデータを含む多様な医療情報を、特定のベンダーに依存しない形で構造化し、相互運用性を確保することを目的としています。なお、SS-MIX標準項目には、主に患者基本情報(氏名、性別、生年月日、住所、保険者番号など)、診療記録(処方歴、検体検査結果、病名、画像診断情報など)や文章情報(紹介状、退院時サマリー、手術・麻酔記録など)が格納されています。2SS-MIX2 標準化ストレージ 構成の説明と構築ガイドライン Ver.1.2i (2024.5.16版)、日本医療情報学会、https://www.jami.jp/jamistd/ssmix2/、2025年9月10日
データ構造の標準化については、医療機関がそれぞれ異なる形式で保存している電子カルテデータを、Health Level Seven (HL7)などの国際的な標準に準拠したメッセージ形式に変換して格納します。これにより、異なるシステム間でのデータ交換や、多施設共同研究におけるデータ統合が飛躍的に容易になります。3診療情報提供書 HL7FHIR 記述仕様 第 1.11 版(2025.7.14版)、日本HL7協会、日本医療情報学会、https://std.jpfhir.jp/stddoc/eReferralFHIR_v1x.pdf、2025年9月10日
- 1医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版(令和5年5月)、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html、2025年9月10日
- 2SS-MIX2 標準化ストレージ 構成の説明と構築ガイドライン Ver.1.2i (2024.5.16版)、日本医療情報学会、https://www.jami.jp/jamistd/ssmix2/、2025年9月10日
- 3診療情報提供書 HL7FHIR 記述仕様 第 1.11 版(2025.7.14版)、日本HL7協会、日本医療情報学会、https://std.jpfhir.jp/stddoc/eReferralFHIR_v1x.pdf、2025年9月10日
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