医療情報データベース活用の拡大と標準化の必要性
近年、医療情報データベースは、臨床研究、医薬品・医療機器の有効性および安全性評価、政策立案など、多様な分野で不可欠な基盤となっています。レセプト情報、電子カルテ、疾病登録などのレジストリ、健診データなどのリアルワールドデータ(Real World Data: RWD)は、従来の臨床試験では捉えきれなかった医療の実態を反映し、外的妥当性の高い知見を提供する点で大きな価値があります。
一方で、医療情報データベースは本来、研究目的ではなく、診療報酬請求や診療記録のために収集されていることが多く(一次利用)、データ構造や記録方法がデータベースごとに大きく異なるという課題があります。本来の目的とは異なる臨床研究などに用いようとしても(二次利用)、診断名の記載方法、検査値の単位、投薬情報の細かさなどが統一されていない場合、異なるデータソース間での比較や統合は困難となり、研究結果の解釈に重大な影響を及ぼします。
このような状況下で重要となるのが標準化です。標準化とは、単にコード体系を統一することにとどまらず、データの意味(セマンティクス)、構造、運用、品質を含む概念です。標準化が不十分なまま医療情報データベースを利用すると、解析結果の再現性が担保されず、最終的な判断や方針の決定に用いることが難しくなります。従って医療情報データベースの利活用を社会的に信頼されるものとするためには、標準化は不可避です。
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