データ創出におけるアンケート調査

データマネジメント(欠損値・外れ値の取り扱い)

アンケートデータの解析において、欠損値や外れ値の取り扱いは大きな課題となります。欠損値に対しては、解析対象から除外する方法、中央値や平均値で保管する方法、または統計的手法で欠損値を予測して補完する方法(例:多重代入法など)があります。データの状況や解析目的に応じて、最適な方法を選択します。

外れ値や異常値も欠損値と同様に解析時に問題となることがあります。外れ値は他の回答と極端に異なるデータのことで、統計的な解析結果を歪める可能性があります。そのため、外れ値を除外した場合と除外しなかった場合の解析結果を比較し、導かれる結論に影響があるかを感度分析で確認することが有効です。一方で、異常値は他のデータとの関連性や通常のパターンから大きく外れた、異常な挙動を示すデータです。異常値に該当するかどうかの判断には、臨床専門医の意見を取り入れることが一般的であり、臨床的な視点から妥当と考えにくい、違和感の大きいデータは除外されることがあります。

まとめ

アンケート調査で得られるデータは、レセプトや電子カルテとは異なり、対象者の主観的な情報を反映しています。そのため、データ自体が曖昧になる可能性がある一方、アンケート調査を通じてしか得られない重要なデータを収集できる点は大きな強みです。

アンケート調査は、エビデンス創出の重要なツールであり、特に患者や医療従事者の主観的な情報を得るために不可欠です。アンケート調査によるエビデンス創出は、日々の臨床においての意思決定に直接的なインパクトを与える可能性があります。そのため、各ステップでの慎重な計画と実行が重要です。適切な調査対象者の選定、サンプルサイズの決定、データマネジメントの計画をすることで、信頼性の高いデータを得ることができます。これにより、リアルワールドエビデンスとしての品質が向上し、ヘルスケアにおける意思決定をサポートすることが可能となります。