費用効果分析(CEA:Cost-Effectiveness Analysis)とは
費用効果分析とは、医薬品など医療技術の費用と、それが生み出す効果から費用対効果を定量的に評価するための手法です。効果として健康改善の度合いを用い、投入される費用と比較することで、「一単位の健康効果を得るのにどれだけの費用がかかるか」を定量的に示すことができます。費用対効果を評価するためには、評価対象の「医療技術①」とその比較対照としての別の「医療技術②」を考える必要があり、その二つを比べることで初めて、「医療技術①」の費用対効果が「医療技術②」より良いのか、評価することが可能となります。
効果の指標として質調整生存年(QALY:Quality-Adjusted Life Years)を用いる分析を特に費用効用分析(CUA:Cost-Utility Analysis)といいます。以下CUAを中心に解説します。

効果を表す指標
医療技術の効果を表す指標として、疾患特異的な指標でなく、生存年(LY:Life Year)やQALYなどが用いられることがあります。QALYは、単純な生存年では評価しきれない、生きている間のQOLの改善効果を含めて評価することができ、保健医療経済評価研究センター(C2H:Center for Outcomes Research and Economic Evaluation for Health)の日本の医療技術評価(HTA: Health Technology Assessment)に関するガイドライン1国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター(C2H)、中央社会保険医療協議会における費用対効果評価の分析ガイドライン 2024 年度版、国立保健医療科学院保健医療経済評価研究センターホームページ、2024 年、https://c2h.niph.go.jp/tools/guideline/guideline_ja_2024.pdf、2025 年 6 月 4 日ではQALYを用いて分析をおこなうことが原則とされています。
費用効果比
費用効果分析において、費用対効果は増分費用効果比(ICER: Incremental Cost-Effectiveness Ratio)として算出します。評価対象の医療技術と比較対照の医療技術において、かかる費用と得られる効果のそれぞれの差から、追加の効果を得るためにかかる追加の費用を求めます。
日本のHTAは価格調整のために費用対効果を評価する
日本のHTAでは、C2Hのガイドライン2国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター(C2H)、中央社会保険医療協議会における費用対効果評価の分析ガイドライン2024年度版、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センターホームページ、2024年、https://c2h.niph.go.jp/tools/guideline/guideline_ja_2024.pdf、2025年6月4日に従った費用効果分析をおこない、その評価結果により、医療技術の価格調整がおこなわれます。費用対効果評価の対象となる品目は主に有用性加算を獲得した新規の保険収載品目や効能追加品目の中から収載時あるいは効能追加時に選定されます。対象となった品目の製造販売業者は、分析の枠組みを決定するための分析前協議を経た上で、9か月以内に分析をおこない、分析結果報告書を提出する必要があります。
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