以下では、とくに「疾患領域全般に関する理解促進」を目的としたメディカルマテリアルに焦点をあて、作成のポイントを確認します。
プロモーション資材とは異なるスタンス
MA部門による情報提供は営業活動からの独立性を確保するべきであり1日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 メディカルアフェアーズ部会、メディカルアフェアーズ部門が行う『医学・科学的情報提供』に関する手引き、日本製薬工業協会ホームページ、2022年、https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/allotment/jtrngf00000008wb-att/KT5_MA_202212.pdf、2024年3月5日、メディカルマテリアルもプロモーション資材とは異なるスタンスで作成する必要があります。
情報提供の目的が「自社医薬品に偏らない疾患領域全般に関する理解促進」にあることを踏まえ、医学・科学的観点に重きを置いたテーマで製作するのが望ましいでしょう。
しかし、その内容は「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」2厚生労働省、医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン、厚生労働省ホームページ、2018年、https://www.mhlw.go.jp/content/000359881.pdf、2024年3月5日を遵守する必要があり、かつ、ガイドライン上、提供できる情報や方法が営業部門などと同様であることを念頭に置く必要があります。
作成要領のポイント
MA部門がメディカルマテリアルを作成するにあたり、とくに押さえておきたい「医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領」3日本製薬工業協会 医療用医薬品製品情報概要審査会、医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領、日本製薬工業協会ホームページ、2023年、https://www.jpma.or.jp/basis/drug_info/lofurc0000001vb4-att/231001_1.pdf、2024年3月5日のポイントを紹介します。
- 疾病、疫学データ等の紹介:
科学的根拠に基づいているかに留意する必要があります。とくに、文脈や主張において重要な意味を持つデータである場合には、学術雑誌、成書や公的機関が発表したデータを用います。データに加えて、その目的や調査方法、リミテーションなどを示すなど、医療従事者へ正確な理解を促すために必要な情報を提供します。
- 症例紹介:
症例報告情報は通常、医学・科学的根拠が十分とは言えず、症例紹介は例外的なデータを取り上げた資料となるおそれがあります。そのため、下記のような必要性が認められる場合に限って作成します。- 副作用や使用上の注意を具体的に注意喚起するために紹介する必要がある場合
- 希少疾病や少数例の特殊疾患への使用を紹介する必要がある場合
- 造影剤等、画像以外で紹介することができない場合
この記事はメール会員専用の記事です。
メール会員登録すると続きをお読みいただけます。