日本におけるHTAの特徴
日本のHTAは、NICEを参考にしたガイドラインに基づいてQALYで評価するよう設計されています。一方、混合診療を認めない国民皆保険という立場からHTAは薬価・材料価格制度を補完する制度として位置づけられており、評価結果は償還の可否には用いず収載後の価格調整に用いる点に特徴があります。承認された製品の保険収載を迅速に行って患者のアクセスを確保した上で、時間のかかるHTA評価により収載後1年後以降に価格を調整する制度となっています。
品目選定
日本ではHTAは薬価・材料価格制度を補完する制度として位置づけられていることから、費用対効果評価制度の対象となる品目は収載された全ての品目ではなく、主に有用性加算を獲得した新規製品となり、収載時点で対象となるか否かが決定します(表2)。但し、制度開始の2019年以前に収載された品目であっても、市場規模が大きな製品はH4区分として指定される可能性があります。また、市場規模が収載時の予測から拡大すると、収載から時間が経った後でも、H1やH2区分として指定される場合もあります。
区分 | 類似薬効方式 類似機能区分 | 原価計算方式 | 選定基準 | |
---|---|---|---|---|
新規収載品 | H1 | 有用性系加算が算定 | 有用性系加算が算定、または開示度50%未満 | ピーク時市場規模(予測): 100億円以上 |
H2 | ピーク時市場規模(予測):50億円以上100億円未満 | |||
H3 | 著しく単価が高いなど中医協で必要と判断された品目 | |||
既収載品 | H4 | 有用性系加算が算定 | 市場規模1000億円以上 著しく単価が高いなど中医協で必要と判断された品目 | |
類似品目 | H5 | H1~H4区分の類似品目 | 代表品目を比較対照として算定された医薬品、及び医療機器 |
- 1
- 2