ガイドラインに関する知識

診療ガイドラインの作成体制と作成基準

診療ガイドラインがどのような体制や考え方に基づいて作られているのかを把握することは、エビデンスの理解・創出に関わるMA部門として役立つと言えます。

Mindsにおける診療ガイドライン作成支援の取り組みとして診療ガイドラインの作成マニュアルが制定されており、2021年3月に発行された「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver. 3.0」が最新版として、現在でも細かい改訂が行われています。

その中で規定される診療ガイドラインの作成体制は三層構造となっており、診療ガイドライン作成・運営全体を制御する診療ガイドライン統括委員会、診療ガイドラインのスコープやclinical question(CQ)などを決定する診療ガイドライン作成グループ、そしてCQに従いエビデンスを評価するsystematic review(SR)を行うシステマティックレビューチームから構成されます。診療ガイドライン統括委員会は関連学会内に組織されますが、診療ガイドライン作成グループやシステマティックレビューチームの構成メンバーは,学会員以外の専門家が担うことがあります1Minds診療ガイドライン作成マニュアル編集委員会、Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver. 3.0、公益財団法人 日本医療機能評価機構ホームページ、2021年、https://minds.jcqhc.or.jp/docs/methods/cpg-development/minds-manual/pdf/all_manual_.pdf、2024年5月20日

診療ガイドライン作成に関わる組織が作られたのち、診療ガイドラインで取り扱う疾患や検査、治療などにおける重要臨床課題を検討し決定します。これに基づき、診療ガイドラインで答えるべきCQを設定します。そのためCQが現代の医療課題を表す重要な要素となります。

CQは臨床上のどのような疑問でもよいわけではなく、一つの端的な疑問文で表され、以下のPICOの要素から構成されます。

  • P(Patients,Problem,Population):
    介入を受ける対象。年齢や性別などの患者特性や症状・病態だけでなく、地理的要件などの要素も考慮する。

  • I(Interventions)
    設定したP に対して行うことを推奨するかどうか検討する介入の選択肢(検査や治療など)