ペイシェント・エンゲージメント

医薬品開発に患者の声を活かす

PPIの類義語として「患者参画(PE:Patient Engagement)」がありますが、PEはPPIをさらに具体化し、患者の立場に立った概念とされることがあります。PEは、医薬品のライフサイクル全般にわたり、患者やその家族が直接関与する仕組みです。この取り組みの中心には、患者の実体験や意見を医薬品の研究開発や治療法の構築に活用することがあります。

製薬企業がPEを導入することで、患者視点からUMNを特定し、治療の質や安全性を向上させることが可能になります。また、患者との協働は、透明性と信頼性を高め、患者の期待を具現化する医薬品開発につながります。

患者と製薬企業の架け橋となるガイダンス

製薬企業がPEを実践する際に役立つのが、日本製薬医学会(JAPhMed)臨床研究Working Groupが作成した「製薬企業向け患者参画(PE)ガイダンス」1日本製薬医学会(JAPhMed)臨床研究 Working Group、Guidance of Patient Engagement for the Pharmaceutical Company 製薬企業向け患者参画(PE)ガイダンス、日本製薬医学会(JAPhMed)ホームページ、2024年、https://japhmed.jp/files/proposal20240529.pdf、2024年11月25日です。このガイダンスは、日本の現状に即して作成されており、PEを効果的におこなうための計画の策定から実行方法までを体系的に示しています。

  1. エンゲージメント計画(PE Plan)の策定

まず、参画の目的を明確化することが不可欠です。UMNの検索、新薬候補品の開発戦略、疾患啓発活動など、目的に応じた計画を立案します。対象となる患者や患者団体、必要なリソース(時間、人員、資金)を事前に洗い出し、活動のスケジュールや目標を具体化することが求められます。

  1. エンゲージメントの流れ

エンゲージメントは以下の流れで進められます。

  1. 事前準備:計画を基に、対象者の要件やリクルート方法を設定する
  2. リクルート:患者団体や個人を選定し、秘密保持契約を締結した上で候補者を決定する
  3. 契約締結:具体的な活動内容や期間、費用に関する契約を結ぶ