ここでは、アンメット・メディカル・ニーズ(UMN)に関する情報収集のために、既報の論文をどのように活用するかについて解説します。UMNを把握する目的と手法については、それぞれ「アンメット・メディカル・ニーズ把握の目的」、「アンメット・メディカル・ニーズ把握の手法」にて解説していますので、そちらを参照してください。
論文検索を介した情報収集
以下の4種類の論文を検索し読むことで、対象とする疾患領域における現在の治療法の限界、患者の生活の質(QOL)への影響、適切な治療を受けるための障壁、未解決の臨床的ニーズや患者ニーズなどを理解することができます。検索に際しては、過去数年程度をさかのぼって最新の研究を中心に情報収集することを推奨します。
1. 総説論文:現状を理解する
総説論文では、特定の疾患や治療法に関連する情報や研究の概要を知ることができます。対象とする疾患領域についての総説論文を読むことで、その領域の現状を理解する手助けとなります。
2. システマティックレビュー:既存の研究を理解する
システマティックレビューやメタアナリシス論文では、特定の疾患や治療介入の効果について既存の研究結果をまとめた系統的な評価を知ることができます。現在ある薬剤や治療の効果に関して、各既存研究のエビデンスの質を評価するために有用です。
3. 臨床研究:新しい研究を理解する
臨床研究の結果を報告する論文では、特定の治療法による介入効果と安全性を知ることができます。とくに新しい治療法と既存の治療法を比較するようなランダム化比較試験の結果は、その新しい治療法により解決されるUMNを知ることができます。さらに新しい治療法でも解決されずに残るUMNに関する情報を得られる可能性もあります。
この記事はメール会員専用の記事です。
メール会員登録すると続きをお読みいただけます。