はじめに
製薬企業を中心に、リアルワールドデータ(RWD)の活用が進んできました。RWDの多くは医療の実臨床の現場で発生するデータです。調剤、医科、診断群分類包括評価(DPC)などのレセプトや、電子カルテから抽出されるデータが主要なものとして位置づけられています。患者、介護者、医療従事者が回答した、生活の質(QOL)の尺度などのアンケートデータもRWDのひとつです。
RWDは、臨床試験のように選択・管理された患者集団から得られたデータとは異なり、実臨床として医療行為を受けた患者集団から得られたものです。そのため、実臨床における医薬品の有効性、安全性、経済性などの評価、医薬品の使用実態の把握など、様々な側面で活用の可能性があります。
RWDの活用は欧米で先行していましたが、日本でも疫学研究などにおいて活用が進み、RWDによるエビデンス創出が医薬品の価値最大化のために重要な役割を担っています。ここでは、RWDの具体的な活用事例に焦点を当てて紹介します。