メディカルマテリアルの作成を担うことになったら?
メディカルアフェアーズ(MA)部門が「医学・科学的情報の発信・提供」を行う過程で、メディカルマテリアルの作成に携わる機会も多くあります。従来、MA部門は営業部門が作成した資材の医学・科学的レビューを担当していました。近年では、営業活動と明確に切り分けたメディカルマテリアルを作成するため、企画から提供まですべてをMA部門が担うことも増えています。メディカルマテリアルを一から作成する場合、どのような点に留意すべきでしょうか。
メディカルマテリアルは2つに大別される
MAが行う情報提供の目的は、以下の2種類に大別されます1日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 メディカルアフェアーズ部会、メディカルアフェアーズ部門が行う『医学・科学的情報提供』に関する手引き、日本製薬工業協会ホームページ、2022年、https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/allotment/jtrngf00000008wb-att/KT5_MA_202212.pdf、2024年3月5日。
- 社外医科学専門家からの、アンメットメディカルニーズやインサイトの取得など
- 社外医科学専門家等の、自社医薬品に偏らない疾患領域全般に関する理解促進
メディカルマテリアルは、情報提供のために MA部門が作成・使用するスライドや印刷物、医療従事者向けウェブサイトなどの電子媒体、動画等の視聴覚媒体などを指しますが、上記の目的に応じてその内容や注意点に違いがあります(表1)。
①情報取得のためのメディカルマテリアル | ②理解促進のためのメディカルマテリアル | |
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使用・作成の目的 | 社外医科学専門家からの、アンメットメディカルニーズやインサイトの取得など。 | 社外医科学専門家等の、自社医薬品に偏らない疾患領域全般に関する理解促進。 |
具体例 | コンサルテーション、メディカルアドバイザリーボード会議などで使用する資料: スライド、印刷物、論文など。 | 疾患啓発に使用する資材: スライド、印刷物、動画、医療従事者向けウェブサイトなど。 |
使用・作成時の注意点 | ・データを知ってもらう目的で過剰に資料を準備せず、議論に必要な内容・量に限定する。 ・提示資料に未承認、適応外情報が含まれる場合は、事前にその旨を説明し、 説明したことを記録に残す。 ・資料に製品名や製品ブランドを喚起させるロゴやロゴのカラーを含めない。 ・提示資料は、事前に社内審査を行う。 | ・「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」2厚生労働省、医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン、厚生労働省ホームページ、2018年、https://www.mhlw.go.jp/content/000359881.pdf、2024年3月5日を遵守する。 ・医学・科学的に正確な情報に基づいていることに加え、その信頼性、透明性、客観性、中立性を担保するよう、適切な審査を行う。 |
・使用するデータの適切性、データの解釈の正確性、全体的に構築される論理、ストーリーの妥当性に留意する。 ・査読のある専門誌に掲載されたデータや、承認申請に使用したデータなどを用いて、高度で最新の医学・科学的情報を提供する。 ・情報を転載・加工して情報提供に使用する場合は、著作権に留意し、出典や解析方法、COIなどを「医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領」3日本製薬工業協会 医療用医薬品製品情報概要審査会、医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領、日本製薬工業協会ホームページ、2023年、https://www.jpma.or.jp/basis/drug_info/lofurc0000001vb4-att/231001_1.pdf、2024年3月5日に準拠して記載する。 |
以下では、とくに「疾患領域全般に関する理解促進」を目的としたメディカルマテリアルに焦点をあて、作成のポイントを確認します。
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