メディカルアフェアーズ部門による情報提供の質の担保

法規制などの遵守と他部署との連携

MA部門は上記の期待を認識しつつ、慎重に医学・科学的情報の発信、提供を行う必要があります。

原則としてMA部門が能動的に提供できる情報は、本邦で承認された効能・効果、用法・用量をその範囲としており、未承認・適応外情報の提供に関しては、医師より求めがあった場合に限られます。またそれらの情報を提供する場合は、情報提供前に未承認・適応外情報であることを伝えたうえで、要求者に限定して、受けた質問の範囲内で回答し、その記録を残す必要があります。また外部からみて未承認医薬品や適応外使用を推奨していると誤解されないよう、日々の活動に細心の注意を払う必要があるでしょう1日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 メディカルアフェアーズ部会、メディカルアフェアーズ部門が行う『医学・科学的情報提供』に関する手引き、日本製薬工業協会ホームページ、2022 年、https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/allotment/jtrngf00000008wb-att/KT5_MA_202212.pdf、2024年3月7日

これらが守られない場合、情報提供の質を問われるだけでなく、MA部門ひいては当該企業自体の医療業界からの信頼を損なうことになります。MA部門の情報提供は、営業活動から独立して行われるべきですが、MA部門が営業部門と明確に切り離されている場合であっても、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」2厚生労働省、医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン、厚生労働省ホームページ、2018年、https://www.mhlw.go.jp/content/000359881.pdf、2024年3月7日の適応外になるわけではありません3厚生労働省、医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインに関するQ&Aについて、厚生労働省ホームページ、2019年、
https://www.mhlw.go.jp/content/000481368.pdf、2024年3月7日
。MA部門の活動においても本ガイドラインのほか、公正競争規約、その他の関連法規、業界団体の自主規範を確認し遵守することに注意しましょう。

 また、医療従事者からの問い合わせや要望があった場合は必要に応じて医薬品の承認申請資料であるCTD(Common Technical Document)などの根拠資料を参照するほか、開発部門や安全性部門、品質部門などの他部署と連携し、回答が難しい場合はどのレベルまで回答を提供するかについて関係者各位との綿密なコミュニケーションも必要となります。

情報提供の質を担保する観点では部門としての対応に一貫性が求められることから、MA部門としての情報提供に一定の基準を定めたルールや回答内容の社内FAQを作成・整備していくことも望ましいと言えます。MA部門としての信頼及びプレゼンスを向上させるため、組織として均一性を持った情報提供を行うことが重要です。

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