薬剤に関する知識

押さえるべき情報のポイント

表1に挙げた通り、薬剤に関する情報で押さえるべきポイントは多くあります。その押さえるべきポイントを把握する理由や、より深く推察できる情報を解説します。薬剤の理解を体系的に深めることで、該当薬剤の使用および未使用理由の把握にも繋がり、結果として、臨床現場におけるUMNの把握に繋がると期待されます。

  • 適応症・作用機序:
    適応症が複数であれば、使用可能性のある診療科を特定しておきます。また、新規性のある作用機序を有する薬剤なのか、類似薬が存在するかにより、他剤と比較しての優位性を把握することができます。

  • 用法用量・剤型:
    剤型、投与回数、投与方法を理解することにより、患者さんの来院頻度や投与による手間を把握します。また、処方する薬剤量から患者負担の費用などを推計することもできます。併用薬が必要な薬剤もあるため、併用薬はあるか、単剤使用か、なども確認します。薬剤によっては、他の治療薬で効果不十分な場合に使用するものや投与量に制限があるもの、腎障害時には投与量の調整が必要なものがあるため、詳細な記載も確認します。

  • 使用条件:
    医薬品の特性や安全性を踏まえて、処方する医師・施設の制限があったり、使用前・後に検査が必要とされる薬剤があります。処方要件や必要な検査を把握することで薬剤の処方状況、市場に及ぼす影響などの理解に役立ちます。

  • 有効性・安全性:
    臨床試験における有効性と安全性情報の把握は基本となりますが、単純に数値の結果だけではなく、対象者や組み入れ基準、エンドポイントなど試験デザインまで確認した上で、結果を解釈するようにします。また、診断・治療ガイドラインでの記載やCQにおける評価、推奨度、参考文献を確認することで、該当薬剤が持つ臨床的意義を深く理解することができます。