メディカルアドバイザリーボードとは
新たな研究の計画や論文化といった、科学的なエビデンスに基づく戦略の企画・立案などの意志決定を行う際に、専門的な知見や臨床実態に基づく経験が重要となる場合があります。メディカルアドバイザリーボードは、複数の医療従事者などのステークホルダーから構成される会議体であり、複数の異なる立場、経験・知見から意見を収集した上で、意思決定に繋げたい場面で設置されます。メディカルアフェアーズ部門やメディカルサイエンスリエゾンの役割の一つとしても挙げられています1日本製薬工業協会、メディカルアフェアーズの活動に関する基本的考え方、日本製薬工業協会ホームページ、2019年、https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/basis/rfcmr00000002zsh-att/ma-jp_20190401.pdf、2024年4月9日 2一般財団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団 理事長 土井 脩、メディカルアフェアーズ機能の現状とあるべき姿(提言)、一般財団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団ホームページ、2018年、https://www.pmrj.jp/teigen/PMRJ_recommen7.pdf、2024年4月9日 3EFPIA Japan、EFPIA Japan MSL ガイドライン Ver.01、EFPIA Japanホームページ、2017年、https://efpia.jp/link/Final_EFPIA_MSL_Guideline_201710_J.pdf、2024年4月9日。
メディカルアドバイザリーボードの概要と目的
メディカルアドバイザリーボードは特定の分野・テーマにおける意見収集を目指して、様々な目的で設置されます。専門家に個別に意見を求めるインタビューに比べ、複数の専門家が同席することによって相互の意見交換の上で新たな見解・意見を得られるメリットがあります。同時に複数の目的に基づき設置される場合もあります(表1)。
# | 目的 | メンバー構成のイメージ例 |
---|---|---|
1 | アンメットメディカルニーズの把握 | ✔︎ 異なる役割の医療施設に勤務する医師(地域中核病院、1次/2次/3次医療機関など) ✔︎ 実臨床における医療従事者や患者視点の課題を把握している医師 ✔︎ 特定の疾患・症状の治療戦略に関して異なる視点・立場の医師 |
2 | エビデンスの創出 | ✔︎ エビデンスに基づく治療戦略やサイエンスコミュニケーションに関心の高い医師 ✔︎ 実臨床の実態に関する最新の情報を保有し、情報ギャップを把握している医師 |
3 | メディカル戦略の立案 | ✔︎ 診療ガイドライン作成委員会のメンバー ✔︎ 情報共有ネットワークの中心にいる、あるいは多くの医師との情報交換ネットワークを有する医師 |
幅広く情報を得るためには多様なメンバー構成も重要です。ただし、短時間で意見集約を目指すようなメディカルアドバイザリーボードにおいては、メンバーの背景が多様過ぎることによって却って制約が生じる場合や、実績豊富なメンバーの音頭が不可欠な場合があり、組み合わせの調整や関係構築など事前の検討が、目的の達成を左右することがあります。長期的な関係構築に向けて、実績が豊富なメンバーだけでなく将来メディカルアドバイザリーボードを牽引しうる潜在的なメンバーの探索も重要です。
- 1日本製薬工業協会、メディカルアフェアーズの活動に関する基本的考え方、日本製薬工業協会ホームページ、2019年、https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/basis/rfcmr00000002zsh-att/ma-jp_20190401.pdf、2024年4月9日
- 2一般財団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団 理事長 土井 脩、メディカルアフェアーズ機能の現状とあるべき姿(提言)、一般財団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団ホームページ、2018年、https://www.pmrj.jp/teigen/PMRJ_recommen7.pdf、2024年4月9日
- 3EFPIA Japan、EFPIA Japan MSL ガイドライン Ver.01、EFPIA Japanホームページ、2017年、https://efpia.jp/link/Final_EFPIA_MSL_Guideline_201710_J.pdf、2024年4月9日
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