薬事に特化したVulcanプロジェクト
HL7 FHIRの利便性を活かして薬事領域に特化した一連のプロジェクトがVulcan(ヴァルカン)です1HL7 Vulcan、https://hl7vulcan.org/、2026年3月5日。これまでは、臨床研究などをおこなう場合に、電子カルテに保存されているデータを、わざわざEDC(Electric Data Capture)などに手入力で打ち直す必要がありました。この作業は膨大な手間がかかる上に、入力エラーのリスクがありました。Vulcanプロジェクトでは、HL7 FHIRにより電子カルテから研究用データを自動的かつシームレスに抽出して活用するための仕様作成を目指しています。
Vulcanにおけるプロジェクトとしては、電子カルテなどの既存のデータを臨床研究に利用するための「Real World Data」のほか、Real World Dataを臨床研究に活用しやすくするためのCommon Data Model(CDM)を提供しているOHDSI(Observational Health Data Sciences and Informatics)という団体によるOMOP(Observational Medical Outcomes Partnership)CDMに対応したFHIR形式の実装ガイドの開発も進められています。
また医薬品などの有害事象に関する「Adverse Events」、臨床研究分野の国際標準化団体であるCDISC(Clinical Data Interchange Standards Consortium)と共同でHL7 FHIR形式の電子版研究計画の活用(Utilizing the Digital Protocol)、医薬品情報をFHIR形式の電子的にやり取りする標準の開発Electronic Product Information((ePI)などがあります。
このようにHL7 FHIRで電子カルテの標準化が進み、さらにVulcanのような枠組みで薬事分野と繋がることで、新しい薬や治療法の開発スピードは格段に上がることが期待されています。

東京大学大学院医学系研究科 特任教授
小出 大介
こいで だいすけ
- 1HL7 Vulcan、https://hl7vulcan.org/、2026年3月5日
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