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シグナル検出とガイドライン
電子カルテの標準化について
最初の私が執筆したコラム「医療情報データベースの標準化とガイドライン」にて、医療情報分野の標準化の重要性と必要性を述べました。医療情報データベースを標準化する上では、データの発生源である電子カルテ自体が標準化されていると良いのですが、実際にはそのようになっていません。
電子カルテの普及率は大規模病院を中心に高まっていますが、メーカーごとに独自のデータ形式や仕様が採用されてきたことから、異なる病院間やシステム間でスムーズに情報を共有することが困難となりました。そこで国策として医療DX1医療DXのDXとは「Digital Transformation((デジタルトランスフォーメーション)」のことで、厚生労働省による医療DXの定義は、「保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータを、全体最適された基盤を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えること」です。
厚生労働省、医療DXについて、厚生労働省ホームページ、2022年、https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000992373.pdf、2026年3月5日が推進されている中で、厚生労働省は「医療DX令和ビジョン2030」2厚生労働省、「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム、厚生労働省ホームページ、2022年、https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_210261_00003.htmlを掲げ、全国で医療情報を共有するための基盤整備を進めています。その中核となるのが、情報のやり取りに関する共通言語、すなわち「標準規格」の策定です。その標準規格として採用されているのがHL7 FHIR(Health Level Seven Fast Healthcare Interoperability Resources)です。
HL7 FHIRとは
まずHL7とは、ISOなどと同様に国際標準化団体の名称です。このHL7の名称は、ISOが策定したコンピュータの通信機能を7つの階層に分類した概念モデルであるOSI(Open System Interconnection)参照モデル(図1)の最上位である第7層のアプリケーション層について保健・医療分野の標準化を意図して結成されたことによります。
| 第7層 | アプリケーション層 | アプリケーション間のやり取り |
| 第6層 | プレゼンテーション層 | データの表現形式 |
| 第5層 | セッション層 | 接続の手順 |
| 第4層 | トランスポート層 | データ通信の制御 |
| 第3層 | ネットワーク層 | インターネットワークでの通信 |
| 第2層 | データリンク層 | 同一ネットワーク上での通信 |
| 第1層 | 物理層 | ケーブルや電気信号やコネクタなど |
そしてFHIRとはFast Healthcare Interoperability Resourcesの略で、「ファイヤー」と発音します。このFHIRは、医療情報システム間の相互運用性を高めることを目的として開発された次世代の医療情報交換標準です。このFHIRは従来のHL7標準であるV2やV3ベースのCDA(Clinical Document Architecture)などの概念を継承しつつ、REST API3 REST APIとは、REST(Representational State Transfer)という「シンプルかつ柔軟なデータ交換のルール」とAPI(Application Programming Interface)というアプリケーション同士がデータや機能をやり取りするための機能が合わさった言葉で、すなわちデータの送り先を明確に示す道標のような機能を有するものです。、JSON/XML4JSON(JavaScript Object Notation)もXML(Extensible Markup Language)もコンピュータ同士がデータをやり取りするための「共通の書式(データ形式)」ですが、JSONは構造として{ “key”: “value” } のように、キーと値のペアで表現するオブジェクトの配列であるのに対し、XMLは<name>夏目漱石</name> のようなタグ<>を使うツリー構造となっています。XMLが厳格な文書構造化ができる反面データ量が多くなってしまうのに対して、JSONはシンプルかつ軽量なのでデータ通信を高速化できるメリットがあります。といったGoogleやAmazonなどのIT企業が日常的に使用している現代的なウェブ標準技術を採用している点が特徴です。そして患者情報(Patient)、処方(Medication Request)、検査結果(Observation)など電子カルテに含まれる主要なデータ要素を表現するための標準的なモデルが既に定義されており、それらの情報を「リソース(Resource)」と呼ばれる最小単位のパーツで扱います。すなわち医療情報の基本要素をモジュール化5モジュール化とは、システムを構成する独立した機能単位や部品にまとめることです。IT業界や建築業界などで「交換可能なひとまとまりの構成要素」とすることで、標準化されたインターフェースを持つことから、容易に追加や交換が可能となります。このモジュール化によって、開発や生産の効率が上がり、また再利用性、保守性が向上することになります。したものがリソースです。
必要なパーツだけを組み合わせて効率的に送受信できるため、柔軟なシステム構築が可能となります(図2)。厚生労働省は、電子カルテ間で共有すべき「3文書(診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果報告書)と6情報(傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報、処方情報)」の交換形式として、FHIRを日本国内の標準規格としています6厚生労働省、第22回健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループ資料について、厚生労働省ホームページ、2024年、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40268.html、2026年3月5日 。

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