メディカルプランの目的①-メディカルプランとは何か

メディカルプランは製品の価値最大化を目的とした活動の計画である

メディカルプランとは、メディカルアフェアーズ(MA)部門が策定する「個々の製品の医療における使用の最適化を目的とした活動に関する計画」1日本製薬工業協会、メディカルアフェアーズの活動に関する基本的考え方、日本製薬工業協会ホームページ、2019年、https://www.jpma.or.jp/english/reports/drug_evaluation_committee/eplg5k0000000ekc-att/ma-jp_20190401.pdf、2024年2月24日と定義されます。使用の最適化とは、製品の価値最大化とも言い換えることができます。ここでいう製品価値とは単に製薬企業にとってだけではなく、患者さん、医療従事者、社会など全てのステークホルダーにとっての価値を指します。

エビデンス創出を活動の核としている

メディカルプランはMA部門が策定する計画ですから、目的は原則として「アンメット・メディカル・ニーズ(UMN)を充足させるエビデンス創出」を核として達成されます。医療従事者や患者さんが意思決定を行うに際し専門家の意見や主観的経験ではなく、バイアスを適切にコントロールした研究によって示されたエビデンスを重視するEBM(Evidence-Based Medicine:エビデンスに基づく医療)2Sackett DL, Rosenberg WM, Gray JA, Haynes RB, Richardson WS. Evidence based medicine: what it is and what it isn’t. BMJ. 1996;312(7023):71-72.の浸透に加え、製薬企業のパイプラインが主に生活習慣病を対象とした診療所でも処方されるプライマリケア領域から、オンコロジー、免疫疾患、希少疾患などの少数の専門医が処方するスペシャリティケア領域に移行しつつあることから、質の高いエビデンスのニーズは高まっています。

エビデンス創出によりステークホルダーにとっての製品価値を最大化する

エビデンスを創出し、医療従事者に適切に情報発信することで日常臨床におけるより良い診断・治療選択に繋がり、ひいては患者ベネフィットの高い医療に貢献することができます。一方向の情報提供にとどまらず、エビデンスに基づく医療従事者との交流により得られた情報を製薬企業内で共有することでメディカルプランを更新し、より価値あるエビデンス創出に繋げることができます。社会の観点からは、医療費の増大が問題視されている中、EBHP(Evidence-Based Health Policy:エビデンスに基づく医療政策)も重視されています3国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター、C2Hとは、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センターホームページ、https://c2h.niph.go.jp/about/who-we-are/index.html、2024年2月24日。診療報酬請求データなどを用いたHEOR(Health Economics & Outcome Research:医療経済・アウトカムリサーチ)領域を考慮したメディカルプランの作成が必要です。