治療方法に関する知識

主な情報入手先の特徴と参照する際のポイントを下記にまとめます。

  • 診断・治療ガイドライン
    基本的にエビデンスの確立された情報がまとまっており、治療方法だけでなく、疾患全体像を理解するうえで、最初に確認すべき情報と言えます。
    治療方法に関する情報を入手する場合、まずは診断・治療ガイドライン内の治療アルゴリズムを確認し、非薬物療法・薬物療法それぞれの位置付けと推奨度を把握します。また、その際に市場調査データなどから各治療方法の対象患者数を把握することが、治療の全体像を把握するためにより有用です。
    CQには診断から治療全体の推奨度合いや特性などが個別に書かれていることがあります。それぞれのより詳細な情報を収集したい場合は、CQを確認するとよいでしょう。
    また、その他に診断・治療ガイドラインには診断基準や疾患特性なども書かれています。診断をどのように行うか、疾患に特徴的な症状や合併症などがあるか、といった情報収集も可能です。
    ただし、記載されている各情報のエビデンスレベルや治療の推奨度はそれぞれで異なるため、その点に留意して情報収集を行う必要があります。
  • 最適使用推進ガイドライン
    既存の医薬品と薬理作用や安全性プロファイル、有効性などが大きく異なる医薬品については、最新の科学的見地に基づく最適な使用を推進する観点から、承認に係る審査と並行して最適使用推進ガイドラインが作成されています。このガイドラインでは当該医薬品の対象患者および使用可能な医療機関などの要件や考え、使用上の注意などが示されています。

  • 論文
    情報を検索する主なデータベースとして、日本語論文なら医学中央雑誌(医中誌)、英語論文ならPubMedなどが挙げられます。治療方法を調べる場合、ガイドライン、コンセンサスレポート、臨床試験結果や症例報告などから情報収集することが多くなるでしょう。
    論文の種類や特徴については「アンメット・メディカル・ニーズ 把握のための論文の活用」の項をご参照ください。
    網羅的に情報を検索したい場合はキーワード入力による検索が有効ですが、入力するキーワードが少ないと膨大な検索結果から情報を探すことになります。そのため、複数ワードのAND検索である程度結果を絞ることも必要です。
    また、より条件を絞った検索も可能です。それぞれのデータベースの使用方法を理解しておくと、効率的に必要としている情報を入手できます。

  • 製品添付文書、インタビューフォーム、適正使用ガイド、製品情報概要
    製品情報概要には開発の経緯や製品特性もまとめられているため、どのようなニーズに対して該当薬が開発されたのかがわかります。該当薬だけでは満たされないUMNが残されていることもありますので、製品情報概要を参照する際には注目すべきポイントです。
    また、薬剤の適応症や投与方法については該当薬の製品添付文書や適正使用ガイドなどから入手します。添付文書には適応症ごとの用法・用量や注意すべき使用方法について記載されているため、薬剤の基本情報を知りたいときは添付文書の1ページ目に目を通すとよいでしょう。

  • jRCT、臨床研究情報ポータルサイト、ClinicalTrials.gov
    上市前の臨床試験中の治療方法や治療薬についての情報を探す場合jRCTや臨床研究情報ポータルサイト、ClinicalTrials.govを使用します。
    jRCTは日本で実施されている治験(企業治験含む)や臨床研究全般の情報を見つけることができる公的なウェブサイトです。治験、研究の目的や結果、使用する薬剤、実施医療機関名などを確認することができます。日本製薬工業協会のウェブサイトでjRCTでの治験の検索方法や検索結果の閲覧方法などがまとめられた資料が公開されていますので、使い方に迷った場合は参照するとよいでしょう1日本製薬工業協会、治験を探す、日本製薬工業協会ホームページ、2023年、https://www.jpma.or.jp/about_medicine/shinyaku/tiken/search/index.html、2024年4月18日
    臨床研究情報ポータルサイトはjRCTおよび大学病院医療情報ネットワークセンターに掲載されているすべての治験・臨床研究情報を横断的に検索することができます。
    ClinicalTrials.govは主に米国で実施されている治験を見つけることができる公的なウェブサイトです。
    将来的な治療環境や市場の変化を予測するために、これらの臨床試験中の治療方法や薬剤の情報を把握することが求められます。