MAの目的を意識したKPIとは
KPIが「目標達成のための組織のパフォーマンス」を測定する指標である以上、目的を明確にすることが重要です。MAの目的とはアンメット・メディカル・ニーズ(UMN)を充足するエビデンスにより製品の価値を訴求して、その価値を定着させることです。すなわち、製品価値の訴求により医師の行動変容を促すことで、対象となる患者さんにもれなく製品を届けることができます。
医師の行動変容を意識したKPIの設定
MA活動により、適正な検査や処方など医師の行動を変容することを目的とした場合、KPIの設定としては大きく分けて直接的な方法と間接的な方法が考えられます。
直接的な方法では、医師の意向や行動そのものをKPIとします。この場合、医師を対象としたサーベイ実施やリアルワールドデータ(RWD)により実際の行動測定、費用と時間がかかりますが定量的に測定することが可能です。
一方、間接的な方法では医師の意向や行動そのものではなく、行動変容に繋がると考えられる間接的な指標をKPIに設定します。例えば、影響力のあるKOLとの信頼関係を築くことで、その領域における医師の意向や行動に対して適切な情報を提供することができると考えられます。信頼関係を測定する指標の例として、面談評価をタブレット端末で何段階かで簡易に評価していただく、面談時間そのものをKPIとする、などが挙げられます。間接的なKPIも有益な方法ですが、KPIの達成が目的達成に繋がっているかを確認することが重要な注意点です。
製品ライフサイクルを意識した目的の設定
目的を定義するにあたっては製品ライフサイクルを意識する必要があります。一般に製品は上市後、医療従事者への浸透とともに売上が上昇しますが、やがてジェネリック製品との競争を余儀なくされるようになります。このとき、上市前からライフサイクル全体を考慮した活動が重要です。
例えば、上市前から製品が充足するUMNの啓発活動を行い、新しい治療コンセプトを十分浸透させておけば、上市直後から速やかに製品が受け入れられる可能性があります。一方、上市後は早期治療介入・長期治療継続のベネフィットと適正使用情報をお伝えすることで対象患者さんにもれなく製品を届けることが可能になります。したがって、製品のライフサイクルに応じた目的を定め、目的達成に繋がるKPIを設定することで、製品の価値最大化に繋がると考えられます。
ここまで述べてきたように、KPIの設定にあたってはKPIが目的達成に繋がっていること、目的の設定においてはライフサイクルを意識して設定することが重要になります。